ミセスコンテストに見る「女性の働き方とワーク・ライフ・バランス」
ミセスグローブ世界大会に出場した65名は、まさに世界のキャリア社会の縮図。現代女性ならではの働き方が見受けられました。
各国代表が自ら公表している職業を見ていきますと、専門職に特化している方もいますが、20代後半〜30代の出場者には「スラッシャー」的な働き方をされている方も多いです。
また、そのようなスラッシャーの方々は、特にInstagramをフル活用しフォローワーが10万人以上いるインフルエンサーとして活動もされています。
スラッシャー:
「スラッシャー」とは、複数の肩書を持つ人たちのこと。プロフィールなどで職業を記載する際に「モデル/プログラマー」「税理士/ライター」などと、複数の肩書を「/(スラッシュ)」で区切ることから、一つの分野にとどまらず幅広く活躍する人のことをスラッシャーと呼ぶようになりました。アメリカの作家Marci Alboher氏が著書『One Person / Multiple Careers』の中で「スラッシュキャリア」という言葉を使ったことが始まりとされています。多くの人の働き方が変わりつつある中で、新しいキャリアのかたちとして、注目される概念です。(日本の人事部:https://jinjibu.jp/keyword/detl/988/より転載)
ミセスグローブ各国代表の職業は以下の通りです。
・看護師 ・フィットネスモデル ・フィットネスコーチ ・航空会社CA ・モデル ・ファッションスタイルブロガー ・いじめゼロ大使 ・初摘みグリーンコーヒー輸入会社 ・焙煎スタジオ経営 ・アフリカ学校支援 ・レストランビジネス経営 ・プロ馬術選手 ・モデル ・マナー学院校長 ・弁護士 ・ジャーナリスト ・モデル ・女優 ・ビジネスオーナー ・マーケティングマネージャー ・心理カウンセラー ・ミス.ミセスコンテストディレクター ・カウンセラー ・ボードゲーム開発者 ・キッズYouTube番組制作 ・オーガニック土壌会社 ・美容アドバイザーとしてサプリメント開発.販売 ・弁護士 ・移民局勤務(算数オリンピック優勝者/最年少司法試験合格) ・フィットネスインストラクター ・ヨガインストラクター ・ヒーリングセラピスト ・美容サロン経営 ・エステサロン経営 ・フィリピンで美容指導 ・インテリアデザイナー ・ドッグショートレーナー(犬11匹を飼育) ・インテリアデザイナー ・不動産業 ・貧困地域への女子支援 ・Webデザイン ・コンサルティング会社経営 ・有名私立大学マーケティングディレクター ・薬剤師 ・農場経営 ・主婦(ダンサー・女優経験あり) ・化粧品会社勤務 ・美容フェイシャルサロン経営 ・看護師 ・助産師 ・美容・健康アドバイザー ・メイクアップアーティスト ・メイクサロン経営 ・電機販売会社経営 ・健康相談センターのメンタルヘルスアドバイザー ・デザインスクール経営 ・フォトスタジオ.モデル事務所ディレクター ・転職アドバイザー ・証券アナリスト ・書道家 ・大学院生 ・卓球選手 ・栄養管理士 ・お茶会社 ・投資会社副社長 ・ビジネス・ライフコーチ ・マーケティングコンサルタント ・イベント司会者 ・製造会社営業マネージャー ・カウンセラー ・美容コンサルタント ・建築士 ・ソーシャルワーカー、
出場者の様々な職業を見るだけでも、世界中の現代女性の多くが子育てをしながら、様々な職業に就き、子育てと家庭、仕事の両立をしていることが伺えます。
スラッシャーが増えている要因としては、SNSの発展により個人の発信力が高まっていることが大きく影響していると考えられます。
現在では、SNSの発信を通して個人をブランド化し、その後のキャリアにつなげていくことも可能になりました。中でも、「一つの肩書にこだわらない」価値観を持ったミレニアル世代やZ世代などの若い世代では、スラッシャーとして複数の分野で活躍する人も多いようです。
また、もう少し上のY世代と呼ばれる1975~1989年生まれの人たちの中にも、スラッシャーは少なくありません。彼らはいわば、不況のあおりを受けた世代。
バブル経済を過ごすことなく、就職難やリストラを目の当たりにしてきたことから、リスクヘッジの意味を込めて、さまざまな選択肢を育てるようなキャリアを形成してきた世代でもあります。
複数の肩書を持つことは、これまで「副業」と呼ばれてきました。しかし、副業という言葉に対して「収入の低さを補うために行うもの」といった、ネガティブな印象を感じる人は少なくありません。
「スラッシャー」という言葉は、こうしたネガティブな印象を廃し、複数の肩書を持つことをポジティブに表現できるとして、広く使われるようになりました。副業ではなく「複業」という言葉ができたのも、同様の理由といえるでしょう。
スラッシャーの特徴は、複数の肩書が“ライスワーク”ではなく、“ライフワーク”であるということ。
つまり、経済的な事情のために副業をしているわけではありません。
一方の職業は生活を立ち行かせるための仕事だったとしても、もう一方は趣味の延長や個人的活動から仕事になるケースが多いようです。複数の経験を積み、スキルを身に付けることで、そのキャリアは唯一無二のものとなります。新たなキャリアスタイルとして、自分の肩書に「/」を増やす人は、今後も増加していくのではないでしょうか。
(日本の人事部:https://jinjibu.jp/keyword/detl/988/より転載)
Profile
大月 直子(おおつき なおこ)
NAOKO OTSUKI
・Mrs. East Sea Globe 2018 ・Mrs. QUEEEN 2018